建設業 「解体工事業者の登録」が必要な解体工事の判断方法と建設リサイクル法の適用について解説します

解体工事業者の登録は軽微な建設工事に該当する解体工事業のみを営むときに
工事現場となる都道府県知事の登録を受けなければ
解体工事ができなというものです

この解体工事には、登録が必要なものと、そうでないものがありますので
解体工事業の登録をお考えの方は、参考にしてください

また、解体工事業を営まれる方にとって重要な建設リサイクル法の対象工事についても記載しておきますので参考にしてください

解体工事業者の登録が必要な解体工事

建設業のうち、建築物「本体の床面積を減少させるものを含む」または建築物以外の工作物除去するために行う工事の場合、登録が必要となりますが

これでは、やや抽象的なので、わかりづらいと思います

じつは解体工事には定義があります


解体工事とは

・建築物のうち、構造耐力上主要な部分の全部または一部を取り壊す工事

「構造耐力上主要な部分とは、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版または横架材(はり、けたその他これらに類いするもの)で、建築物の自重もしくは積載荷重、積雪、風圧、土圧もしくは水圧または地震その他の振動もしくは衝撃をささえるもの」

・建築物以外の工作物の全部または一部を取り壊す工事

「建築物以外の工作物とは、土木工作物、木材の加工または取り付けによる工作物、コンクリートによる工作物、石材の加工または積方による工作物、れんが・コンクリートブロック等による工作物、形鋼・鋼板等の加工または組み立てによる工作物、機械器具の組み立て等による工作物およびこれらに準ずるもの」

つまり、上記の建築物や建築物以外の工作物を取り壊す工事が解体工事となります
そして、この上記の解体工事を行うにあたって


・軽微な工事のみを行う場合は解体工事業者の登録
・軽微な工事以上を行う場合は建設業許可


というように区分けされています

軽微な工事とは
建築一式で解体工事を含む場合は1500万円未満、それ以外の解体工事では500万円未満の工事

解体工事業者の登録が必要となる具体例は次のようなものです

・建築物の全部の解体
・建築物の一部の解体
・屋根版の全部の交換

屋根版は構造耐力上主要な部分にあたるため、その交換は解体工事+新築工事となります

解体工事業者の登録は元請、下請に係わらず必要となります
また、自社で解体を施工しない場合であっても、解体工事を受注する際に必要な登録となりますのでご注意ください

登録が不要な解体工事の具体例

・曳家「建築物をそのままの状態で移動する建築工法」
構造耐力上主要な部分である基礎から上屋を分離するが、仮設によって支えられており、また曳家をしている間でも建築物として機能しているため、修繕・模様替等として扱われますので登録は不要です

・壁の取り壊し
壁は構造耐力上主要な部分にあたるが、壁のみの取り壊しで建築物の除去を目的とするものでない場合は登録は不要です

・屋根のふき材の交換
屋根ふき材は構造耐力上主要な部分に該当しないため登録不要です

・屋根ふき材の交換にあたって屋根版を交換しないと屋根ふき材の交換ができない場合
屋根版は構造耐力上主要な部分にあたるため、その交換は解体工事+新築工事となりますが、屋根ふき材の交換の付帯工事として行われる場合は、登録不要です


・設備工事の付帯工事として床版にスリーブを抜く工事
床版は構造耐力上主要な部分にあたるため、スリーブを抜く工事は解体工事となりますが、付帯工事として行われる場合は、登録不要です


上記の例からもわかるように、付帯工事として解体工事を行う場合は解体工事業者の登録は不要となっています

付帯工事について知りたい方はコチラ

これらは一例ではありますが、判断に迷われたときは建設業班等、行政の担当課に相談をして確認をするようにしてください

解体工事業には必須 建設リサイクル法の適用について

解体工事業者にとって決して切り離すことができない法律に建設リサイクル法があります
この法律が適用されれば、様々な義務が課せられることになります

建設リサイクル法の対象建設工事の判断

・特定建設資材を用いた建築物等の解体工事で規模が基準以上のもの

・特定建設資材は4つ
①コンクリート
②コンクリート及び鉄からなる建設資材(プレキャスト鉄筋コンクリート)
③木材
④アスファルト・コンクリート

・規模の基準
床面積80㎡以上

床面積が80㎡以上で、特定建設資材のいずれかを使用している建築物に関する解体工事の場合には建設リサイクル法が適用されることになります

建設リサイクル法の適用となれば以下の義務が発生します

建設リサイクル法の対象建設工事に該当することで負う義務

・分別解体等の実施の義務
・特定建設資材廃棄物の再資源化の義務
・発注者による行政庁への事前届出の義務
・元請業者による発注者への再資源化完了報告

この建設リサイクル法に規定された義務を怠った場合には罰則規定が設けられています
もっとも重い罰則は1年以上の懲役または50万円以下の罰金に処されます


また解体工事業者の登録の登録拒否事由に該当するため、登録は取り消され、その処分より2年間は解体工事業を営むことができなくなります

建設リサイクル法の遵守をよろしくお願いします

解体工事業者の登録、建設業許可のことでお困りごとがありましたら
初回相談料は無料となっておりますので
お気軽に当事務所にご相談ください

「行政書士 藤井法務事務所」