建設業許可を受けて、その業種の建設工事を行う際に主任技術者を現場に配置する必要があることはご存じかと思います
この主任技術者は工事現場をいくつまで掛け持ちできるのでしょうか?
今回のテーマは主任技術者の現場の掛け持ちについてです
そもそも主任技術者は現場の専任性を求められてはいません
主任技術者の職務を誠実に行うことができれば、数に関係なく複数の現場を掛け持ちすることはできます
できるのですが・・・ここで注意ポイントです
工事の内容によって、工事現場への専任確保義務が発生すれば話は変わります
工事1件の請負代金が4000万円(税込)(建築一式工事については8000万円)以上の公共性のある工作物または多数のものが利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事(個人住宅を除くほとんどの工事)については、工事現場ごとに専任の技術者を配置しなければなりません
つまり、個人住宅以外の4000万円以上のほとんどの工事で工事現場への専任確保義務が発生します
こうなると、主任技術者は現場の掛け持ちが 原則できなくなります
原則です! つまりできる場合もある、ということです
公共性のある施設もしくは工作物または多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な工事のうち密接な関連のある二以上の工事を同一の建設業者が同一の場所または近接した場所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することができる
ポイントは、密接な関連のある工事であること、同一か近接した場所であることの2点です
密接な関連のある工事とは
・工事の対象となる工作物に一体性もしくは連続性が認められる工事
・施工にあたり相互に調整を要する工事
この2点を指します
一体性や連続性は道路の舗装工事などがイメージしやすいかと思います
例えば国道と市道の交差点の修繕工事は一体性も連続性もあるといえます
施工にあたり相互に調整を要するとは、2つの工事現場の資材を一括調達し、工程の調整をしながら行っていく工事などを指しますが、例えば災害復旧のための仮設住宅の建設などがイメージしやすいかと思います
次に近接した場所とは、どの程度なら近接と認められるのか?という問題です
これは工事現場の相互の間隔が5km程度とされています
つまり、現場と現場が5km程で工事に密接な関連がある場合は
主任技術者は2つ程度までなら掛け持ちしてもいいよ、ということです
ここで「工事現場への専任」とはどういうものか?の補足説明をします
専任とは必ずしも工事現場への「常駐」を必要とするものではありません
技術研鑽のための研修、講習、試験等への参加、休暇の取得、その他の合理的な理由で技術者等が短期間工事現場を離れることについては、適切な施工ができる体制を確保「必要な資格等を有する代理の技術者の配置、連絡を取りうる体制、必要に応じて現場に戻りうる体制の確保等」し、その体制について、発注者や元請、上位の下請等の了解を得ていれば、差し支えありませんとなっています
「平成30年国土建第309号」主任技術者又は監理技術者の「専任」の明確化について
・最後に
微妙なケースで判断に迷うときもあるかと思います
その時は必ず行政に確認をしてください
これは兼任できると判断したことが、業法違反とされたのでは不本意ですから
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