電気工事業 「電気工事業者の登録って何?」 その要件と概要をわかりやすく解説します

建設業許可区分に電気工事がありますが、
電気工事の建設業許可を取得している場合であっても
電気事業法の電気工事業に該当すれば電気工事業者の登録が必要となっています

対象となる工事が決められていますので確認してみてください

対象となる電気工事

一般用電気工作物または自家用電気工作物を設置しまたは「変更する工事」を自ら施工する場合は電気工事業者の登録が必要となります

「自ら施工」する場合のみ必要となりますので、下請に出す場合は自ら施工はしないので
電気工事業者の登録は不要となりますが、建設業法で禁止されている一括下請負にならないように注意する必要があります

「変更する工事」とは
設置されている電気工作物の現状を変更する全ての工事をいい、撤去工事も含まれます


・一般用電気工作物とは

一般家庭や商店、事務所など600Ⅴ以下の電圧で受電している屋内配線設備などが該当する

・自家用電気工作物とは

最大出力500KW未満の需要設備のみをいい、中小ビルや工場などの電気設備が該当する

    ※一般用電気工作物と自家用電気工作物が詳しく知りたい方はコチラ


以下の軽微な電気工事は登録の対象外となります

①電圧600Ⅴ以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器または電圧600Ⅴ以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事

②電圧600Ⅴ以下で使用する電気機器または電圧600Ⅴ以下で使用する蓄電池の端子に電線をねじ止めする工事

③電圧600Ⅴ以下で使用する電力計量もしくは電流制限器またはヒューズを取り付けまたは取り外す工事

④電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36Ⅴ以下のものに限る)の二次側の配線工事

⑤電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置しまたは変更する工事

⑥地中電線用の暗渠または管を設置しまたは変更する工事



電気工事業者登録の区分と申請先


・登録電気工事業者(5年の有効期限有)(登録申請内容が知りたい方はクリック)

 一般用電気工作物・自家用電気工作物を施工する事業者であって、
建設業許可の保有ナシ

・みなし登録電気工事業者(届出内容が知りたい方はクリック)


 一般用電気工作物・自家用電気工作物を施工する事業者であって、建設業許可の保有あり

・通知電気工事業者(通知内容が知りたい方はクリック)


 一般用電気工作物のみを施工する事業者であって、
建設業許可の保有ナシ

・みなし通知電気工事業者(通知内容が知りたい方はクリック)


 一般用電気工作物のみを施工する事業者であって、建設業許可の保有あり


以上の4つの区分に分けられていますので、該当する区分での申請となっています
建設業許可は電気工事に限らずどの業種の許可でも該当します

登録電気工事業者のみ登録の有効期限が5年となっていますので注意してください。

みなし登録電気工事業者みなし通知電気工事業者は建設業許可に基づいて届出、通知をしています。
建設業許可の更新後に変更届を提出する必要があります

登録・届出の申請先

・電気工事業を行う営業所が1つの都道府県にある場合は都道府県知事登録(通知)
・電気工事業を行う営業所が2以上の都道府県にある場合は経済産業大臣登録(通知)となります

営業所とは
電気工事の作業の管理を行う店舗を指します。本店、支店、営業所、出張所などの名称は関係なく、実体として、その管理を行っている店舗が営業所となります

主任電気工事士の設置

電気工事業者は、一般用電気工作物の工事 の業務をおこなうときは「業務を行う営業所ごと」に、主任電気工事士を設置する必要があります



・主任電気工事士の資格
 1、第一種電気工事士免状を取得している者
 2、第二種電気工事士免状を取得した後、3年以上の電気工事に関する実務経験を有する者

経験として認められる実務の内容

・一般用電気工作物に関する電気工事
・自家用電気工作物に関する軽微な作業
・認定電気工事従事者認定証を取得した後に従事した簡易電気工事
・特種電気工事資格者認定証[非常用予備発電装置工事]を取得した後に従事した非常用予備発電装置工事
・特種電気工事資格者認定証[ネオン工事]を取得した後に従事したネオン工事
・家庭用電気機械器具の販売に伴って販売業者が直接行う電気工事

軽微な作業とは以下を指します

①電線相互を接続する作業
②がいしに電線を取り付けまたは取り外す作業
③電線を直接造営材その他の物件に取り付けまたは取り外す作業
④電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
⑤配線器具を造営材その他の物件に取り付けもしくは取り外しまたはこれに電線を接続する作業
⑥電線管を曲げ、もしくはねじ切りし、または電線管相互もしくは電線管とボックスその他の付属品とを接続する作業
⑦金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付けまたは取り外す作業
⑧電線、電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付けまたは取り外す作業

簡易電気工事とは
自家用電気工作物に係る電気工事のうち、電圧600Ⅴ以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事のこと



主任電気工事士は事業主本人や役員、自社の従業員から選任する必要があり、一人の主任電気工事士は複数の営業所を兼任することはできません


検査測定器具の設置について

電気工事業者は、営業所ごとに検査測定器具を備える必要があります

一般用電気工作物の工事のみの業務を行う営業所
・絶縁抵抗計
・接地抵抗計
・抵抗・交流電圧を測定することができる回路計
自家用電気工作物の工事の業務を行う営業所
・絶縁抵抗計
・接地抵抗計
・抵抗・交流電圧を測定することができる回路計
・低圧検電計
・高圧検電計
・継電器試験装置※
・絶縁耐力試験装置※

(継電器試験装置と絶縁耐力試験装置は必要な時に使用できる措置を講じていれば備えているものとしてくれます。その際に所有者「電気保安協会や工事組合等」と借用契約書を交わす必要があります)

まとめ

建設業許可は国土交通省が管轄していますが
電気工事業の方は経済産業省が管轄しています。
したがって、電気工事の建設業許可を取得していても
電気事業法の電気工事業に該当すれば登録申請が必要な建て付けとなっていますので
電気工事業をされる方は注意をしてください。

建設業許可、電気工事業者のことでお困りごとがありましたら
初回相談料は無料となっておりますので
お気軽に当事務所にご相談ください

「行政書士 藤井法務事務所」