建設業法では請負契約をするに際して、請負契約書に記載する事項が定められています。
これは請負契約の明確性や正確性を担保するためなのですが、
この規定が細かく設定されています。
まずは請負契約書の内容に記載すべき事項の漏れがないか照らし合わせて見て下さい。
建設工事の請負契約の内容
①工事内容
②請負代金の額
③工事着手の時期および工事完成の時期
④工事を施工しない日または時間帯の定めをするときは、その内容
⑤請負金額の全部または一部の前払い金または出来高部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期および方法
⑥当事者の一方から設計変更または工事着手の延期もしくは工事の全部もしくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更または損害の負担およびそれらの額の算定方法に関する定め
⑦天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担およびその額の算定方法に関する定め
⑧「価格等」の変動もしくは変更に基づく請負代金の額または工事内容の変更
⑨工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
⑩注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容および方法に関する定め
⑪注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期および方法ならびに引渡しの時期
⑫工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑬工事の目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑭各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
⑮契約に関する紛争の解決方法
⑯その他国土交通省令で定める事項
※⑧価格とは「価格、運送費、保管料、賃貸料、加工費、修繕料その他給付の対価たる財産的給付をいう」
建設リサイクル法対象の解体工事の場合は次の4項目が追加事項となります
①分別解体の方法
②解体工事に要する費用
③再資源化するための施設の名称・所在地
④再資源化等に要する費用
請負契約の締結について
原則は、上記の請負契約の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付すること
原則は書面で相互交付とされていますが、注文書と請書で請負契約が締結されている実態も踏まえて、注文書と請書でのパターンによる請負契約に係る請負契約の内容との関係について整理されていますので、自社の請負契約の実態と照らし合わせて確認してみて下さい。
〇基本契約書には、個別の注文書及び請書に記載される事項を除き、法第19条第1項各号に掲げる事項を記載し、当事者の署名又は記名押印をして相互に交付すること
〇注文書及び請書には、建設業法第19条第1項第1号から第3号までに掲げる事項その他必要な事項を記載すること
〇注文書及び請書には、それぞれ注文書及び請書に記載されている事項以外の事項については基本契約書の定めによるべきことが明記されていること
〇注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること
〇注文書及び請書のそれぞれに、同内容の基本契約約款を添付又は印刷すること
〇基本契約約款には、注文書及び請書の個別的記載事項を除き、建設業法第19条第1項各号に掲げる事項を記載すること
〇注文書又は請書と基本契約約款が複数枚に及ぶ場合には、割印を押すこと
〇注文書及び請書の個別的記載欄には、建設業法第19条第1項第1号から第3号までに掲げる事項その他必要な事項を記載すること
〇注文書及び請書の個別的記載欄には、それぞれの個別的記載欄に記載されている事項以外の事項については基本契約約款の定めによるべきことが明記されていること
〇注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること
注文書と請書で契約を締結する場合はこの2パターンがあります
パターン1は、あらかじめ包括的に基本契約書に請負契約の内容を記載して契約を締結しておいて、個別の建設工事を注文書と請書で行うパターンです
パターン2は、パターン1の基本契約書を締結しない代わりに毎回、基本契約約款を添付して、注文書と請書で行うパターンです
いずれも、注文書と請書では、「工事の内容」「請負代金の額」「工事着手の時期および工事完成の時期」を定めて、残りの内容は基本契約書又は基本契約約款にまかすという立て付けになっています
そしてこの2パターンのどちらかであれば、注文書と請書のやりとりでも、建設業法違反にはならないという扱いになっています
最後に
基本契約書、基本契約約款に関しましては、国土交通省のホームページに建設工事標準請負契約約款が用意されていますので、それを参考にされるとよいかと思います
建設業許可は申請書類のボリュームも多く、証明書類も多岐にわたります
また今年より電子申請もスタートし、建設業者の方はその対応に苦労されていると思います
弊所では電子申請にも対応いたしますのでお困りごとがありましたらご相談ください
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初回相談料は無料となっておりますので
遠慮なく当事務所にご相談いただければと思います。
「行政書士 藤井法務事務所」