建設業許可の落とし穴 欠格要件とは? その対象となる人と注意するポイントを説明します


建設業許可で意外と見落とされがちになるのがこの欠格要件です

「経営管理と専任技術者の要件がやっとそろった、
これで許可申請ができる」と思っても、


欠格要件に該当すれば一発不許可です


また、許可取得後に該当すれば許可は取消しとなってしまうので

本当に注意が必要となります

今回のテーマは建設業許可の落とし穴、欠格要件です

対象者は誰?

・法人自体
・取締役は常勤、非常勤を問わず対象
・執行役
・業務執行社員
・取締役と同等の支配力を有する者として、相談役、顧問、
  総株主の議決権の100分の5以上を有する株主等
・支配人
・営業所長
・個人事業主本人・登記された支配人


以上、建設業の経営に関わる人が対象となります

欠格要件の規定

私には関係がないと思ってしまう方もおられると思いますが

例えば交通事故や飲酒運転で執行猶予がついた場合や
ささいなことがきっかけで傷害や暴行で罰金刑を受けたなども対象です


魔がさして、役員の略歴書に賞罰があるのに
賞罰なしと書いてしまった・・・など


決して考えられないことではないと思います



以下が欠格要件の規定になります

1,許可申請書またはその添付書類中に重要な事項について、
 虚偽の記載がある、または重要な事実の記載が欠けている場合

2,上記の対象者が以下のいずれかに該当した場合

 ①,成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者

 ②,不正の手段により許可を受けたこと、または営業停止処分に違反したこと等により
   その許可を取り消されて5年を経過しない者


 ③,許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行い、
   その届出の日から5年を経過しない者

 ④,営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

 ⑤,営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者

 ⑥,禁錮以上の刑に処され、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を
   受けることがなくなった日から5年を経過しない者

 
 ⑦,建設業法、建築基準法もしくは労働基準法等、政令で定めるもの、もしくは
   暴力団員による不当な行為の防止に関する法律の規定に違反し、または
   刑法等の一定の罪を犯したことにより罰金の刑に処され、その刑の執行を終わり
   または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

 ⑧,暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

 ⑨,営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で
   その法定代理人が上記のいずれかに該当する場合

 ⑩,暴力団員等がその事業活動を支配する者


以上です

禁固刑以上は罪名に関係なく欠格要件に該当します

罰金刑はどの法律によって、罰金刑となったかで欠格要件に
該当するかどうかを判断します

・建設業法
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
・刑法 傷害罪 現場助成罪 暴行罪 凶器準備集合罪 脅迫罪 背任罪
・暴力行為等処罰に関する法律
・建築基準法
・宅地造成法
・都市計画法
・景観法
・労働基準法
・職業安定法
・労働者派遣法


と非常に多くの法令が該当します

そして、許可行政庁は、警察や市区町村に照会をかけて
欠格要件に該当しないことの確認を行います
ここで該当していることがわかれば不許可となります

もし、欠格要件に該当している者がいるのに
そのことを隠していたらどうなるか?

この場合のペナルティは重いです

該当者のみならず、役員全員が欠格要件該当者となります

素直に申告してください

最後に

私自身もっとも怖いと思うのがこの要件です

新規許可申請の段階ならまだ許可がもらえないだけで済みますが
許可取得後に万が一、
欠格要件に該当して許可を取り消されれば
5年間は許可をもらうことができなくなります

それだけではなく、何よりも
築いてきた信用を失うことが一番の損失」となります

経営に携わる人は事業の健全な継続のためにも、
より法令遵守の意識が必要となります

建設業許可のことでお困りごとがありましたら
お気軽に当事務所にご相談ください

「行政書士 藤井法務事務所」