建設業法では見積もりに関して建設業法第20条で定められています
なぜ見積りが必要かというと、工事の種別ごとに見積りを出してもらえれば専門家でなくてもある程度は判断できますし、相見積りを取って比較検討もできます
発注者が納得して契約をしてくれれば、不要なトラブルを未然に防止できるので、そういう点において請負人にとっても利益があるという趣旨と受け取れます
いかんせん建設工事は高額になりますから・・・
1項 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積もりを行うように努めなければならない
2項 建設業者は建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を提示しなければならない
この1項、2項は建設業者が発注者に対して負っている見積り算定の努力義務と見積書の提示義務になります
なぜこんな当たり前の規定が必要なのかと思ってしまいますが
次の規定を条文として載せておきたかったから、ではないかと思います
3項では注文者に対して見積り条件の提示と見積期間の確保を義務付けています
ここで見ていただきたいのが、随意契約による場合と入札の方法により競争に付する場合となっています
これは発注者が公共団体であることが想定されているわけです
受注者にとって不利や公平を失するのないようにとの配慮だと感じ取れます
①工事一件の予定価格が500万円に満たない工事については 1日以上
②工事一件の予定価格が500万円以上5000万円に満たない工事については
10日以上
③工事一件の予定価格が5000万円以上の工事については 15日以上
ただし、やむを得ない事情があるときは、②と③の期間は、5日以内に限り短縮することができる
政令で定める期間が以上となります
国土交通省が出している建設業法令尊守ガイドラインではこの公共団体には言及しておらず、民間工事にも対応しているような書き方をしています
現にガイドラインの注意書きとして
本ガイドラインには、公共工事および民間工事における発注者と受注者との間の取引全般を対象としているが、個人が発注する工事でもっぱら自ら利用する住宅や施設を目的物とするものに関する取引は含まない
としています
このガイドラインの注意書きは、公共性の高い建設工事は民間工事であっても法20条3項の規定が適用されると考えている、と受け取れます
逆に私用目的のものは契約自由の原則にまかせているようです
まとめ
見積りに期間が定められているというのは、受注者が適正な見積りを算定するために設けられた最低限の期間ということでした
この期間が見積りを出すために適性かどうかは工事の規模によるとは思いますが、これより短い期間で見積りを出せと、せかされるのを防いでくれてはいます
今回は見積りの期間についてまとめていますので、見積条件の提示義務には深く触れませんが、これは請負契約書に記載する請負代金額を除いたすべての項目が義務として課せられているものとなっています
ご参考になれば幸いです。