建設業許可取得後の決算で財産的要件を満たせなかった場合
許可はどうなるのでしょうか?
そもそも財産的要件は常に求められるのでしょうか?
今回は許可取得後の財産的要件がテーマです
財産的基礎の確認のタイミング
建設業者は毎年、決算後4か月以内に許可行政庁に決算変更届を提出します
行政側は建設業者の決算の中身を確認できる状態ではありますが
決算変更届をもって財産的基礎の要件が確認されることはありません
つまり、一般建設業許可、特定建設業許可いずれの場合でも
この要件を常時満たしておく必要はないということです
では、いつ決算の中身が確認されるか?
それは許可申請をおこなうときのタイミングで確認されます
許可申請は新規申請、更新申請、業種追加申請が該当します
この許可申請をおこなうときに、許可申請時直前の決算内容で
財産的基礎の要件を満たしているかどうかの確認がされます
そのため、財産的要件を満たさなくなったからというだけで
建設業許可がなくなるということはありません
特定建設業許可は要注意
見出しの内容に入る前に許可要件のおさらいをしておきます
まずは一般建設業許可から確認していきます
一般建設業許可の場合、次のいずれかに該当する必要がありました
① 自己資本の額が500万円以上であること
② 500万円以上の資金を調達する能力を有すること
③ 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
この③の規定の意味は、
5年間、許可を受けて建設業を営んできたのだからその実績を信用して
財産的要件は問いませんという意味です
一般建設業許可の財産的基礎要件は、基本新規申請の要件であって
許可を継続していく要件ではないということです
一方、特定建設業許可の規定はこうなっています
より高度な財産的基礎を有すること
許可申請時直前の決算期の財務諸表で、次の全ての要件を満たすこと
① 資本金の額が2000万円以上であること
② 自己資本の額が4000万円以上であること
③ 欠損の額が資本金の額の20%を超えないこと
④ 流動比率が75%以上であること
特定建設業の場合、
一般許可の③ような継続規定はありません
そのため翌事業年度に許可更新申請を予定している場合は
本年度の決算でより高度な財産的基礎要件を
クリアしておく必要があるということです
もしこの要件を満たせない場合は、特定建設業の許可を断念して
事前に一般建設業許可に変更しておく必要があります
まとめ
特定建設業許可業者は請負う建設工事の規模も大きく
下請負業者に発注する頻度も高くなります
そのため財産的要件も厳しいものになっていますので
より慎重な経営判断が求められています
また、許可更新を予定している場合は
前年度より財産的要件を念頭に入れておく必要も
あるかと思いますのでご注意ください
建設業許可でお困りの方は、
当事務所にお気軽にご相談ください
「行政書士 藤井法務事務所」