法律用語・契約用語 「とする・ものとする」の使い方

「とする」

「とする」は一定の事項を創設的に表現するものとして、契約書においてルールを定めるためによく用いられます。

例えば、「契約の期間は、本契約締結日から1年とする。」

この例では、契約の有効期間についてのルールが創設され、当事者はそのルールに従うことになります。

「ものとする」

「ものとする」は多くの場合、一定の行為をすることを義務付けるときに使います。
「とする」よりもやや弱く表現するもので、契約書では、よく用いられる言葉です。

例えば、「乙は、委任契約の報酬として、金1万円を甲に支払うものとする。」

この例では、乙は甲に対する支払いという作為を義務付けられています。


ただし、「ものとする」は解釈上の疑義を避けるために、確認の意味合いで使われることもまります。

例えば、「本契約に基づき個別の契約したを場合において、本契約と異なる定めをした場合は、個別の契約の定めが優先するものとする。」

この例では、本契約と個別の契約した内容が異なった場合に、個別の契約が優先することを確認的に示すニュアンスを持たせています。

ニュアンスという言葉を使う理由は、「ものとする」という言葉の表現の弱さということであり、
確定的に個別の契約を優先させたいのであれば、「個別の契約の定めが優先する。」と断定させるのが適切だからです。

とする」と「ものとする」契約書ではよく使う言葉ですが、使い分けがあいまいな場合が見られます。

使い方に迷ったときは、言葉の意味を思い出してみてください。

ご参考になれば幸いです。