相続土地国庫帰属制度とは? 制度の概要わかりやすくまとめます。



相続土地国庫帰属制度とは、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、今後その土地を利用する予定がない場合、法務大臣の承認により、土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度のことです。

申請手続きができる人

相続または相続人に対する遺贈により土地の所有権の全部または一部を取得した人

土地が共有の場合は、共有者全員で承認手続きをする必要があります。

共有者に関しては相続以外の原因で取得した場合であっても、他の共有者にその共有地を相続で取得したものがあれば、相続以外の原因で取得したものも承認申請できます。

国庫帰属が認められない土地の要件

国庫に帰属させることができる土地は、通常の管理に親しむ土地に限られています。

国庫帰属が認められない土地要件として、却下事由と不承認事由が定められています。

却下事由

・建物の存する土地

・担保権または使用収益を目的とする権利が設定されている土地

・通路その他の他人による使用が予定されている土地として政令で定めるものが含まれる土地

・特定有害物質により汚染されている土地

・境界が明らかでない土地、その他の所有権の存否・帰属・範囲につき争いがある土地

通路その他の他人による使用が予定されている土地として政令で定めるものとは、
道路、鉄道、河川、水路等の公共施設の用に供される土地
電柱、電話柱、電線などの公共設備の設置に必要な土地などのこと

不承認事由

・崖がある土地のうち、その通常の管理にあたり過分の費用・労力を要するもの

・土地の通常の管理処分を阻害する有体物が地上に存する土地

・除去しなければ土地の通常の管理処分ができない有体物が地下に存する土地

・争訟によらなければ通常の管理処分ができない土地

・その他、通常の管理処分に過分の費用・労力を要する土地

以上が、却下事由と不承認事由になります。これらに該当するものは通常の管理に親しまないものとして国庫に帰属することはできません。

負担金の納付が必要になります

負担金とは、承認申請が認められた場合、その土地の所有者は管理に要するコストを永遠に免れることになります。一方、利用の需要が無い状態の土地を所有することになった国は、管理するのに要する費用を負担し続けることになります。そこで、負担金を設定し受益者負担として求めています。


負担期の額の算定方法は、国有地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算出されます。



「負担金の額の詳細を知りたい方はコチラ 出典:法務省HP」

最後に

この制度ができた背景には、所有者不明土地の存在があります。

土地を利活用したい、ちゃんと管理してほしいなどのニーズがあっても
一体だれがその土地の所有者かよくわからないという問題が増えてきています。


今や、日本の所有者不明土地の総面積は九州を超える面積となっています。


そのため、これ以上所有者不明土地を増加させないために創られた制度です。


相続で不要な土地問題がある方は、制度の活用を検討してみてもよいかもしれません。
ご参考になれば幸いです。